2017年1月25日に東京国際フォーラム(ホールB7)で一般社団法人日本人材派遣協会の賀詞交歓会が開催されました。協会会員のトップが集まりなかなかの盛況であった。

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同一労働同一賃金は経済政策である・・・

今回の注目ポイントは、安西法律事務所の弁護士 木村恵子先生の講演。テーマは現在、派遣会社にとってもっとも気になる話題である同一労働同一賃金

講演の内容で気になった点を下記にまとめてみる。

  1. 同一労働同一賃金は経済政策である。/li>
  2. 同一労働同一賃金は、差別的取扱いを禁止する原則として確立してきた概念である。
  3. 同一労働同一賃金ガイドライン(案)では、「非正規」という言葉の一掃を目指している。
  4. 派遣社員における同一労働同一賃金とは?
  5. 今後の法改正に注目

同一労働同一賃金は経済政策である。

同一労働同一賃金は、労働政策だと思いがちだが、経済政策であるとの指摘があった。すなわち、労働人口の減少による、経済の持続性を危うくするリスクをなくすための1億総活躍時代への布石であるという見方だ。簡単に言えば非正規雇用労働者の待遇改善を行うことにより、消費支出が増えGDPが増加し、介護支援や子育て支援の充実が行われ、労働力供給量がUPし、賃金総額も上がっていくという好循環を狙ったものだと言える。

同一労働同一賃金は、差別的取扱いを禁止する原則として確立してきた概念である。

従前、日本では、同一労働同一賃金=男女間の差別的取扱いのお禁止(労基法4条)であるが、現在の議論は、「均等・均衡待遇の原則」が大元にある。正規であろうが、非正規であろうが職務内容が同一であれば、処遇格差があってならないと考える。

均衡待遇に関して労働契約法及び、労働者派遣法では下記のように記されている。

労働契約法台20条
有期契約労働者と通常の労働者との待遇の相違は、職務内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して不合理ではあってはならない。
労働者派遣法第30条の3
派遣先に雇用される同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力もしくは経験等を勘案し、賃金を決定するように努めなければならない。

注意しなけらばならないのは、“均等”と“均衡は”別ものだという点である。

「非正規」という言葉の一掃

同一労働同一賃金ガイドライン(案)では、雇用形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保し、いわゆる正規雇用と非正規雇用の間の不合理な待遇差の解消を目指す、とされている。
つまり、「非正規」という名称を使わないようにしましょうね、という単純な話ではなく、同一の企業内での格差はなくしましょうね、ということである。
派遣会社サイドから見た場合、もっとも気になるのは、この“同一企業”とは何のことか?という点であろう。派遣先を指すのか、派遣元を指すのかで大きくその意味は変わる。

派遣社員における同一労働同一賃金とは?

派遣元は、派遣先の労働者と職務内容、職務内容・配置の変更の範囲、その他の事情が同一である派遣労働者に対し、その派遣先の労働者と同一の賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施をしなければならない。また、職務内容、職務内容・配置の変更の範囲、その他の事情に一定の違いがある場合において、その相違に応じた賃金の支給、福利厚生、教育訓練の実施をしなければならない。

これが派遣法的な見地である。これを読む限り、同一企業は派遣先の事である、と読むことができる。同一労働同一賃金は派遣先に合わせろ、ということなのかという疑問が沸き、そんなことは不可能である。という結論が導かれる。

一方、「同一労働同一賃金に向けた検討会中間報告」では、まずは、派遣元における他の社員との待遇格差の是正を求めている。

まずは、という表記が気にはなるが、検討会中間報告での同一企業は派遣元の事であることは間違いない。

今後の法改正に注目

同一賃金同一労働のガイドラインが法制化されるのは2018年から2019年初旬と予測されている。今回の講演では、法制化に向けて下記を準備すべきであるとの指摘があった。参考にされたい。

  1. 有期契約社員の人数、契約年数等の把握
  2. 無期転換者用の就業規則の準備
  3. 雇用安定措置義務が生じる派遣労働者への対応の検討
  4. 雇用安定措置義務を履行した記録を派遣元管理台帳に記録する体制の整備
  5. 雇用安定措置を講じた際に必要な書面、記録等の準備
  6. 正社員・有機契約社員パートの役割、権限、職務の内容等の整理
  7. 賃金体系の整理
  8. 雇用形態による福利厚生棟の相違

就業規則には必ず、「定年」の規定を設けるべきであると強い支持があったことを受け加えておきたい。「定年」の規定がなければ、無期雇用=死ぬまで となりかねないからである。

まとめ

同一労働同一賃金の対象が、派遣先なのか派遣元なのかによって、派遣会社の対応は大きく変わらざるを得ないが、同一労働同一賃金は経済政策である以上、派遣元にとっては避けて通れないテーマであることは間違いない。一番大事なのは、正社員・有機契約社員パートの役割、権限、職務の内容等の整理を行い、それぞれの相違を確実に理解することだと思われる。仮に、派遣社員と全く同じ仕事をすることがポリシーの社長がいたとすれば、派遣社員から社長と同一賃金を求められても拒否できなくなるかもしれないのだから。